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合同会社オフィス気楽

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ザウルスと携帯電話(1) − 本質を理解する

 

私が商品企画として担当した機種で、よくご紹介させていただくのがこの携帯端末ザウルスと携帯電話の通信システムです。この接続システムを私が初めて開発しました。

今の人はご存知ないかも知れないのですが、シャープはもともと情報商品が強く、電卓などの分野に強みがあったのですが、アドレス帳やビジネスデータを個人で持ち歩くザウルスという商品を開発し、人気を博していました。

私はザウルス自信の担当では無かったのですが、ザウルスに通信システムをつなげる担当だったのです。担当だったというか、正確にはこの商品を提案して商品化したという感じです。たまたまある会社から、私の同期の所に通信用チップの売り込みがあり、その話を聞いて、社内で企画提案をして最終的に商品化まで持ち込んだのです。

それまでザウルスはビジネスデータを公衆電話で通信していました。ザウルス時代には、アドレス帳や個人データだけでなく、プログラムを搭載することができ、それらのデータを、公衆電話を通して、会社のパソコンと通信していたのです。

しかし、公衆電話だとどうしても通信できる場所が限られて来ます。そこで、公衆電話ではなく、携帯電話を使って自由に使えるそのチップに可能性を見たのです。

そこで、その時の上司に相談し社内で企画提案しました。提案自体は受け入れられたのですが、技術開発部門と品質部門から反発を買い、自分で開発も含めてやらざるを得ない状況になってしまいました。

少し補足で説明しますと、当時のシャープの社内の仕組みは、商品企画が企画を提案して、技術開発部門がその技術開発を行い、最終的に品質部門が品質確認をして商品を世に出すという流れになっていました。

私は商品企画を担当していたものの、技術開発の仕事も品質部門のやったことがなく、最初途方に暮れたのですが、企画提案して社内でオーサライズした以上、引き下がる訳にも行かずに、チップを開発した企業に支援をいただきながら、何とか技術開発の仕事も品質部門の仕事もこなして、商品化にこぎ着けたのです。

普通、企業で商品開発に携わるといっても部分的なものが多いのですが、このシステムに限って言えば、数人の部下とチップを開発した企業のサポートがあったとはいえ、全く経験のない仕事を含めてほとんど自分でやったので、自分の成果として人に話をさせていただくことが多いのです。

しかも、このような新規性の高い商品にも関わらず6ヶ月で開発、商品化をすることができました。そういう意味で、この商品は私にとってはとても印象の強い商品です。そして、私にとってだけでなく、現代という時代に強いインパクトを与えたという意味もあると思います。

現代という時代に強いインパクトを与えた、というのは少し言い過ぎに聞こえるかも知れませんが、今のスマホを見てください。携帯電話の中に個人情報や各種のデータ、プログラムが載っています。ザウルスの携帯電話システムと全く同じコンセプトです。

実は、アップルを追い出されたスティーブ・ジョブズが、当時の佐々木シャープ副社長を東京支社に訪ねて、スケッチを持ってiPhone の開発を相談したという話があります。佐々木元副社長はソニーに相談に行くようにアドバイスしたそうですが、ひょっとしたらジョブズも、ザウルスの通信システムを知っていたのかも知れません。

そういう意味で、この商品は直接では無かったかも知れませんが、現代のスマホ社会に影響を与えた一因になったのかも知れません。

ビジネスの基本(1):商品やサービスの本質を徹底的に考える

この話でご説明したいことは、商品やサービスの本質を徹底的に考えるということです。ザウルスという商品の性質上、どこでも会社のパソコンやサーバーにつながることは商品の本質の本質です。逆にそれを無くして商品が成り立たないといって良いぐらいです。

ザウルスのコンセプトを表現するのにこれだけ良いシステムはありません。展示会とかで注目を集め、ザウルスの商品を売る大きな役割を果たしました。値段が高すぎでシステム時代の売り上げは目標にだいぶ届かず、チップを開発いただいたメーカーには多大な迷惑をかけてしまったということはあるのですが、ザウルスという商品から見たら大成功だったと思います。

その後は、当初手を引いた技術開発部門が自ら作ると名乗りを上げて、この仕事を横取りした形になり、そういう意味でもチップ開発メーカーには申し訳なかったと今でも思っているのですが、社会の力学的にどうしようの無かったという状況でした。

このように、商品やサービスの本質に沿ったものは必ず成功します。逆にいうといかに商品とかサービスの本質に迫れているかが、ビジネスの成否の基本となります。

もう一つ、私が携わった商品に日本語ワープロがあります。日本語ワープロの書院といえば、十年以上シェアNo.1を続けて来ました。パソコンの普及により、日本語ワープロというジャンルが無くなるまで、シェアNo.1を続けていたのですが、なぜずっとトップシェアだったかというと、日本語ワープロの本質にずっとこだわってきたからです。

例えば、ワープロの黎明期、24ドットフォントが中心だった時代に32ドットフォントを既に採用していただけでなく、その後も他社よりも高い解像度を維持し続け、ベクトルフォントという拡大文字対応もいち早く採用しました。

日本語ワープロの本質は、いかに美しい文書やハガキを印刷できるかにあります。この本質にこだわり続けたからこそ、シャープの書院はずっとトップシェアだったのだと私は考えています。

最近、クレドとか経営理念の重要性が認識されつつあります。クレドというのは経営理念というかビジネスの基本哲学みたいなもので、それを明文化するという話です。有名な例ではリッツ・カールトンのサービスがあります。リッツ・カールトンでは従業員全員がクレドを持って、サービスに当たっているといいます。

P&Gのクレドも有名です。P&Gの日本の責任者だった方の講演会で話を伺ったことがありますが、P&Gでは毎年1回、世界中の責任者が一堂に会して、クレドの内容をどうするか、3日間喧々諤々と議論をするそうです。

多分、クレドの内容もそうですが、それを3日間考えるということがとても大切なのだと思います。日本企業も経営理念とかクレドの重要性を認識しつつありますが、どちらかというとトップダウン的な位置付けであり、従業員が商品やサービスの本質を考える、というところまではいっていないように感じます。

シャープ退職後、多くの方の相談にも載っていますが、私がやっていることはその方の商品やサービスの本質を見出すことです。商品やサービスというか、その人そのものの本質を見いだすと言っても良いかのも知れません。

普通、コンサルティングというと、集客とか社内の業務改善とか、外面的なこと、マニュアル的なことが多いように感じます。少し変わった例えですが、西洋のガーデニングみたいに外観を整え、品質を向上する、そういうコンサルティングが多いと思います。

日本の庭園は少し趣が違います。石とか木とか、それぞれの素材を活用してそれをどう活かすか見たいなアプローチです。この商品やサービスの本質、もしくは個人の本質を考えるというのは、そういう日本の庭園みたいなアプローチなのです。

これは大企業から個人事業まで全く同じ話です。それをどう実現するかが、ビジネスの基本の最も大切な事だと私は考えています。

集客コンサルタントの方に「毎日ブログを書いてください」と言われて困っている個人事業主の方も多くおられます。文章を書くのが得意な人ならいざ知らず、普通はそういうことは難しいと思います。商品やサービス、その人の本質に沿ったコンサルティングがもっと増えてくると、多くの方が楽になると思います。

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